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【円安】韓国経済への影響 深刻◆他の主要国は黙認

円安:1ドル=110円なら韓国製造業で2.4兆円減益

 昨年末から本格化した「第3次円安」で韓国経済にも暗雲が広がっている。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは「韓国が今回の円安による最大の被害国だ」と警告した。韓国は1980年代後半(1988-90年)、2000年代半ば(2004-07年)にも円安を経験した。しかし、今回の第3次円安は、韓日両国の崖っぷちでの生き残り競争を招いた点で過去とは根本的に異なる。経済専門家は第3次円安が過去と比べ三つの点で異なると説明する。

1.世界的な景気低迷期に起きた円安

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 韓国に初めて影響を与えた円安は、1988年から1990年にかけてのことだ。当時は日本経済のバブル崩壊で円安が始まった。一方、韓国経済は原油安、ドル安、低金利でウォン高となった。当時の世界経済の成長率は、1988年の4.5%から1990年の3.2%へと一時的に鈍化したが、今回のように2008年以降、6年連続で不振の世界経済とは状況が異なった。

 第2次円安期の04-07年には、日本が超低金利を維持し、円資金が海外に流出したことで起きた。当時は世界経済がIT(情報技術)バブル崩壊を乗り越え、持続的に成長していた時期だった。世界経済は年4.5-5.4%成長した。世界経済の好況を追い風にして、韓国の輸出は円安環境でも急速に伸びた。

 つまり、過去2回の円安期には世界経済が成長を維持しており、円安そのものによる影響は限定的だった。

 しかし、第3次円安は世界的な景気低迷の中で日本がデフレからの脱却を目指し、人為的につくり出したものだ。韓国経済は成長率が8四半期連続で0%台にとどまるなど、低成長基調に陥る兆しを見せている。

2.輸出市場で激突する韓日

 過去の円安期とは異なり、世界の輸出市場での韓日両国による直接競争はさらに激しさを増した。過去には日本と韓国で技術格差があったため、輸出製品の性格が異なり、直接競争による衝撃はそれほど大きくなかった。産業研究院の報告書によると、90年代半ばの日本の輸出上位5品目は、電機・電子(輸出全体の31.3%)、自動車(17.8%)、機械類(17.2%)、精密機器(6.4%)、化学(5.8%)で、これら品目が円安の恩恵を受けた。これに対し、同じ時期の韓国の輸出上位5品目は、電機・電子(34.3%)、繊維(14.2%)、自動車(7.5%)、鉄鋼(6.4%)、機械類(6.1%)だった。円安で電機・電子、自動車、機械類には被害があったが、自動車と機械類はまだ輸出に占める割合が低かった。

 その後、韓国が日本の技術レベルに追い付き、現在両国は同じ市場で激突している。両国の輸出品目を見れば、どれだけ直接競合関係にあるかが分かる。輸出競合度(1に近いほど激しい競争関係にある)という指標で見ると、両国の競合度は90年代半ばは0.410前後で推移していたが、07年には0.461に上昇。昨年1-11月には0.481となった。言い換えれば、両国の輸出品目のほぼ半分が重複しているということだ。

 ウリ金融経営研究所の分析によると、円安が加速し、対ドルでウォンと円が1000ウォン、110円となれば、韓国製造業の営業利益は今後1年間で26兆ウォン(約2兆4000億円)減少すると推定される。

3.円安で国際協調期待できず

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 主要国は今回の円安を事実上黙認しており、韓国と共に円安に対処する「友軍」の出現を期待できない。欧米は既に日本と似た量的緩和策を取っており、円安政策が世界の景気回復にプラスになるならば、それを抑止する必要はないとの立場だ。

 このため、主要7カ国(G7)、主要20カ国・地域(G20)の会合でも、アベノミクス(安倍首相の経済政策)にこれといった警告を発しなかった。過去の円安局面でG7が対応に乗り出したのとは状況が異なる。

 モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)の指数によれば、日米の株価は今年に入って15.5%上昇したのに対し、日米以外の世界の株価上昇率(ドルベース)は8.4%の上昇にとどまっている。

 英紙フィナンシャル・タイムズは最近「米国経済が再び減速するか、アベノミクスによる日本経済の活性化が期待されたほどではないことを示す証拠が出てくるまで、このトレンドの継続を阻止する材料はほとんどない。日米はタンゴを踊り続ける(円安を容認する)ことができる」と分析した。

 このほか、金融市場でも直接韓日がぶつかっている。以前は日本が先進市場、韓国は新興市場だった。しかし、世界的な金融危機以降、韓国がFTSE指数(ロンドン株価指数)など先進国の株価指標に組み入れられ、資本市場でも韓国は日本と同じ先進経済圏に加わった。韓国の株式市場は年初来2.4%下落したが、同じ期間に日本株は42%上昇した。韓国に流入していた外国人資金が好調な日本株にシフトした影響だ。

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