警視庁捜査2課などが18日、元社長、三ケ尻久美子(69)ら3容疑者を逮捕した「安愚楽牧場」(栃木県那須塩原市、2011年8月に経営破綻)。
三ケ尻容疑者らは巨額の資金を雑誌広告やテレビCMにつぎ込み、安愚楽牧場の知名度を高めることで顧客を増やしていった。
「最初は信用していなかったが、経済評論家の海江田万里氏(現・民主党代表)が雑誌などに紹介記事を書いていたので、安心した面もあった」。出資者の60代女性=川崎市多摩区=は振り返る。
「おそるおそる50万円から始めた」が、大々的な宣伝を見聞きするうち「すっかり信用するようになってしまった」という。最終的には夫と2人で計2500万円以上を出資した。
安愚楽牧場の08年度の決算報告書によれば、顧客の勧誘にあてる広告宣伝費▽販売促進費▽募集費??は計18億円を超え、経費全体の52・6%を占めた。
同社の財務状況に詳しい大黒崇徳税理士は「オーナーを集めないと金が回らなくなっていたため、広告に金をかけていたのではないか」と分析。04年度以降、経費の半分以上が勧誘関連とみられる出費で占められるという。
複数の週刊誌やビジネス誌、女性誌などに次々と広告や記事が掲載された他、「大御所芸能人の取り寄せグルメ鉄板リスト」と題して有名歌手が同社のビーフカレーを推薦する記事もあった。
海江田氏は、1993年に衆院議員として初当選するまで経済評論家として活動。同牧場を「知る人ぞ知る高利回りの利殖商品」とたびたび紹介していた。今年2月には同氏の著書や記事を読んで損害を被ったとして出資者30人が約6億円の損害賠償を求めて提訴。
海江田氏は「執筆と損害との因果関係が不明で、法的責任はない」と争う姿勢を示している。【浅野翔太郎、福島祥】
http://mainichi.jp/select/news/20130618k0000e040186000c.html?inb=ra
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