韓国政府は26日、中国が主導し年内の設立を目指すアジアインフラ投資銀行(AIIB)に創設メンバーとして参加することを最終決定した。AIIBは今後、年間800兆ウォン(約86兆円)規模とされるアジアのインフラ市場に資金を供給する役割を担うようになる。
米国、欧州、日本が中心の世界銀行やアジア開発銀行(ADB)とは異なり、AIIBは中国の発言権が強いことから、中国の通貨である人民元の経済圏が一層拡大する見通しとなった。
韓国政府はAIIBへの参加をめぐり、これまで中国を警戒する米国と、最大の貿易相手国である中国との板挟みとなってきた。このような中、韓国が自らの態度を決められない間に、英国、ドイツ、フランス、イタリアなど欧州の主要国が参加を宣言。
韓国としては米国の意向を無視できない事情があるのも確かだが、
今回の参加決定とその表明が時期的に適切だったのかは疑問として残る。
ただし、AIIBが発足すれば、韓国企業がアジアの土木建設市場に参入するチャンスはこれまで以上に増えるだろう。しかしそれよりも重要なことは、中国人民元の影響力が拡大するに従い、それが韓国経済に及ぼす影響も大きく変わってくるという事実だ。
世界銀行やアジア開発銀行のケースを見ると、資金源を握る主要国は国際金融市場での影響力を生かし、商品やサービスなどの市場も同時に掌握してきた。第2次世界大戦以降、米国や日本の企業が世界的に大きく成長してきた背景には、自分たちが設立した国際金融機関による大きな支えがあったからだ。
中国は2009年から人民元の国際化戦略を本格的に進めてきた。世界第2位の経済大国の通貨に見合った地位を確立したいと考えたからだ。その一環としてまずは貿易での決済から始め、さらに海外での債権や株の購入を人民元で決済することで、思惑通りその影響力を拡大してきた。
この動きに今や香港やシンガポールだけでなく、2012年以降は英国、フランス、スイスまでが人民元取引の中心になろうと競争を繰り広げている。そのため欧州諸国がAIIBへの参加を決めたのは突然のことではなく、このような流れが実はすでに形成されていたというわけだ。
韓国は欧州諸国に後れを取り、昨年末になって韓国ウォンと人民元の直接取引を行う市場をようやく立ち上げた。しかし、政府による規制の影響で現状はまだ不十分だ。
人民元が影響力を拡大する中で韓国が何らかの利益を得るには、ウォン建ての債権などが海外で自由に取引されるよう、ウォンの国際化をまずは進めるべきだったが、今回はその順序が逆になってしまった。
韓国は主要国の中で最初に中国と自由貿易協定(FTA)を締結したが、AIIBへの参加には時間がかかった。
人民元の地位向上に対応し、韓国ウォンの国際取引を可能にするための戦略も不十分だ。このままではAIIB参加の効果が半減する恐れも出てくるのではないだろうか。
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/03/28/2015032800540.html
デフォルト寸前の国の紙幣を国際化?
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